こんにちは!語学系キャリアカウンセラーのかぺりんです。
毎日のお仕事や勉強、本当にお疲れさまです!
英語を勉強していると、「知っている単語を並べているはずなのに、なぜか上手く伝わらない…」「英文を読むときに何度も後ろから読み返してしまう…」なんて壁にぶつかることはありませんか?
実は、英語脳を作る第一歩は、文法を丸暗記することではなく「英語の語順」を感覚として体に染み込ませることなんです。
今回は、複雑に見える英語のシステムをシンプルに整理し、まず一番最初に身につけるべき「①大きな語順(全体の語順)」の仕組みとトレーニング法について、一緒にお茶でも飲みながら楽しく紐解いていきましょう!
まず、言葉の処理手順を身につける
以前の記事で、英語を英語のまま理解し、思いついたことをそのまま話すと英語になる状態(いわゆる「英語脳」)を実現するためには、英語のものの見方を身につける必要があるというお話をしました。
わたしたち日本語ネイティブは、長年日本語を使い続けてきたために、日本語特有の「ものの見方」が深くしみついています。自分でも全く自覚しないまま、日本語の発想で世界を捉えているんですね。
そのため、何かを話そうとして頭の中に浮かんだ「イイタイコト」は、そもそも日本語のものの見方によって切り取られた発想になっています。
また、英語を聞いたり読んだりしたときも、無意識のうちに日本語の「体験型理解(日本語に訳して文脈を追うこと)」をしようとしてしまいがちです。
ですが、これはある程度の量の英語を使い続けて英語のものの見方が身につくまでは、至極当然のプロセスでもあります。
だからこそ、英語学習を始めた初期段階から「完璧に英語で理解しよう」「スラスラ英語で話そう」と力む必要はありません!
その欲求はひとまず脇に置いておいて、まずは英語の語順や基本的な文法を反射的・無意識的に使える処理手順を身につけていきましょう。
英語をある程度使い続けてものの見方が身についてくれば、少しずつ、驚くほど楽に理解したり話したりできるようになりますよ。
「わたし」と「I」の決定的な違いとは?
ここで一つ、日本語と英語の発想の違いがよくわかる例を挙げてみましょう。
実は、日本語の「わたし」と同じ発想で、英語の “I” を使うことはできません。
“I” を英英辞典で引いてみると、次のように定義されています。
the speaker or writer …(今話している人、あるいは書いている人)the person who is speaking …(話をしているその人)
つまり、今聞いている話をしゃべっている人、読んでいる文章を書いた人 そのものが “I” なのです。
一方で、日本人が「わたしって何?」と尋ねられたら、どう行動するでしょうか?
おそらく、自分の胸や鼻の頭を指さしますよね。
言葉で説明しようとすると、「私」という漢字に行き着きます。「私」は「公(こう)」の対義語であり、「公」が外や社会を表すのに対して、「私」は内側、社会の外に対する自分自身を意味します。
関西で女性が一人称として使う「ウチ」も、まさに「内側(自分)」という同じ感覚からきています。
| 言語 | 視点 | 一人称の発想 |
|---|---|---|
| 日本語 | 当事者視点(内側から世界を見る) | 「ウチ」「私」(社会や公に対する内) |
| 英語 | 俯瞰(カメラ)視点(外から客観視する) | “I”(「発言している人物」という客観的事実) |
この違いに、日本語と英語の根本的な「ものの見方の違い」が現れています。
日本語は「当事者の視点(内側)」から世界を見ているのに対し、英語は「俯瞰的な視点(カメラで引いた視点)」で客観的にものを見ているのです。
この日本語の「うち」の発想のまま英語の一人称を使うと、ニュアンスにズレが出てしまいます。
少し前に流行った「マイブーム」という和製英語も、まさに日本語の「私(自分の内側の流行)」の感覚をそのまま英語の “my” にあてはめてしまった分かりやすい例ですね。「マイカー」「マイホーム」なども同じ感覚から生まれています。
4つの語順に分けて学習する
さて、ここから本題である「語順の攻略法」に入っていきましょう。
英語の語順には、大きく分けて4つのパターンが存在します。これは英語の中に4つの語順があると私が整理している考え方で、複雑な英文法を分解して理解しやすくするためのアプローチです。
英語の語順は「階層的」になっていて、文・句・節などが複雑に絡み合っています。
だからこそ、その複雑な構造を「1つの大きい語順(全体の語順)」と「3つの小さい語順(部分の語順)」に分解し、まずはそれぞれを個別にトレーニングしていくのが一番の近道です。
今回は、すべての土台となる「大きな語順」にフォーカスします。
大きな語順とは、以前もお伝えした以下の並び順のことです。
【だれが】→【どうした】→【なにを】→【どのように】→【どこで】→【いつ】
文法用語で言い換えると、次のようになります。
【主語】→【述語】→【述語の対象】→【目的・態様など】→【場所】→【時】
もちろん、実際の会話でこの要素が常にすべて使われるわけではありません。場所や時間が省略されることもありますし、倒置などの例外もあります。
しかし、この語順こそが「文や節」を作るときの根本的な原則であり、英語ネイティブが頭の中で発想するイメージの順番そのものなのです。
ネイティブの子どもはどのように大きな語順を身につけるか?
では、ネイティブの子どもたちは、どのようにしてこの「大きな語順」を身につけていくのでしょうか?
ネイティブの子どもは成長過程において、以下の順番で言葉を覚えていきます。
- 名詞から動詞へ
- 目に見えるものから、目に見えない概念へ
- 内容語(意味を持つ単語)から機能語(文法を整える単語)へ
幼い子どもにとって、聞き取っている英語のうち最初は「内容語(名詞・動詞など)」の部分しか頭に入っていません。実際の感覚としては、内容語だけが耳に飛び込んでくる状態です。
例えば、大人が次のような英文を話したとします。
Mike will have to eat an apple at home tonight.(マイクは今夜、家でりんごを食べなければならないでしょう。)
幼い子どもの耳や頭には、次のように聞こえています。
Mike … eat … apple … home … tonight
助動詞(will, have to)、冠詞(an)、前置詞(at)といった「機能語」が削ぎ落とされ、【Mike(だれが)】→【eat(どうした)】→【apple(なにを)】→【home(どこで)】→【tonight(いつ)】 という「大きな語順」だけが鮮明に浮かび上がってきますよね。
ネイティブの子どもは、この浮き出た骨組みに何度も触れることで大きな語順の存在を感覚的に察知し、自然と配列のルールを学んでいきます。
さらに、英語では内容語にストレス(強勢)を置いて発音するリズムがあるため、この音の強弱も大きな語順を身につける強力な手助けとなっているのです。
知らないモノは認識できない(脳と認知のメカニズム)
ここで、「子どもには内容語しか聞こえていない」という点について、認知の面白さを表すエピソードをご紹介します。
ある文化人類学者が、ある地域の原住民のコミュニティでフィールドワークを行っていたときのことです。
彼が原住民と一緒に浜辺にいた際、はるか沖合を巨大な「軍艦」が通過していきました。
学者は感動して「見てごらん!沖合に大きな船がいるよ!」と指をさしたのですが、原住民たちは全く無反応でした。海を見つめてはいるものの、何も見えていないかのように素通りしていたのです。
なぜでしょうか?
彼らは「軍艦」という存在や概念を人生で一度も見たことがなく、知識として持っていなかったため、視界に入っていても脳がそれを「存在する情報」として認識できなかったのです。
そこで学者は一工夫し、軍艦の側面に原住民たちがよく知っている「大きなバナナの絵」を描いて、再び沖合を通過させてみました。
すると今度は、原住民たちが一斉に軍艦を発見し、「バナナだ!」と大騒ぎしながら海へ駆け寄っていったそうです。
自分の中にすでにある「既知のもの(バナナ)」があったからこそ、脳が初めてその存在を捉えることができたんですね。
英語の学習もこれと全く同じです。自分の中に「大きな語順」という枠組み(既知の知識)がない状態だと、いくら速い英語を聞いても脳が単語の羅列としてしか処理できません。
まずは骨組みとなる枠組みを脳に教えてあげることが何より大切なのです。
では、大人が大きな語順を身につけるにはどうするか?
ここが私たち大人の学習者にとって一番のポイントです!
日本語ネイティブの大人は、幼い子どもと違ってすでに中学校や高校で習った「文法知識」を持っています。
そのため、そのままの英文を見たり聞いたりすると、冠詞(a/the)、前置詞(at/in)、助動詞(will/can)といった「機能語」まで同時に脳が処理しようとしてしまい、情報過多で頭の中がパニックになってしまうのです。
だからこそ、大人が効率よくトレーニングするためには、あえて一時期「機能語などの細かいパーツを削ぎ落とし、大きな語順だけがクッキリ見える状態」を作って練習することが効果的です。
具体的には、複雑な文章に出会ったときに、まずは「誰が・どうした・何を」という核となる要素だけを抜き出し、パズルのように並び替えるトレーニングを行います。
装飾を削ぎ落とした「幹」の部分だけを繰り返し意識することで、大人の脳にも「大きな語順」が強固にインストールされていきます。
覚えたことを脳内でひたすら反芻しよう
ネイティブの子どもは、覚えた内容語が一定の規則に従って並んでいることを発見します。
最初は「主語→述語」や「述語→対象」、「場所→時」といった2つの言葉の関係性からスタートし、少しずつ全体の大きな語順へと拡張していきます。
そして、その語順を日常生活の中で繰り返し聞いたり話したり、脳内で頻繁に反芻(はんすう)していくうちに、ある重要な感覚が体に染み込んでいきます。
それは、英語の文章が「主語を起点として、内→外、小→大、手前→背景」という美しいグラデーション(段階的変化)で配列されているということです。
このグラデーションの順番が乱れたときに、ネイティブは「あれ?なんか気持ち悪いな」「おかしいな」と直感的に違和感を覚えます。
難しい文法用語で説明できなくても、「感覚的に間違っている」と判断できるのは、このグラデーションが脳に完全に浸透しているからなんですね。
私たち日本人が「私・行く・学校」と言われたときに「順番がおかしい」と感覚で分かるのと全く同じ仕組みです。
大人の私たちがこの感覚を最短で身につけるためのコツは、隙間時間を見つけては「大きな語順」を頭の中でひたすら反芻することです。
幼い子どもが与えられた積み木を、飽きもせず何度も崩しては組み立てるように、シンプルな英語の並び(誰が→どうした→何を…)を頭の中でコロコロと転がしてみてください。
この地道な反芻こそが、英語脳を作る一番の近道になります!
【まとめ】大きな語順をマスターして英語脳の土台を作ろう
今回は、英語学習の第一歩として絶対に欠かせない「①大きな語順(全体の語順)」について解説しました。
要点を改めて整理してみましょう。
- 英語と日本語は視点が違う:日本語は「内側の当事者視点」、英語は「外からのカメラ(俯瞰)視点」。
- 大きな語順の基本パターン:【だれが】→【どうした】→【なにを】→【どのように】→【どこで】→【いつ】
- 大人の効率的な学習法:最初は細かい機能語(前置詞や冠詞)を削ぎ落とし、核となる「大きな語順」だけを抽出して脳に馴染ませる。
- 反芻トレーニング:積み木遊びのように、基本の語順を頭の中で何度も反復して「グラデーションの感覚」を身につける。
最初から完璧な文法を目指す必要はまったくありません。まずは「誰がどうした」という大きなフレームを脳に作ってあげることが何より大切です。
次回は、この大きな語順の中に組み込まれる「小さい語順(部分の語順)」について、さらに詳しく分かりやすく解説していきますね!
自分のペースで、楽しみながら一緒に英語の引き出しを増やしていきましょう応援しています!
よくある質問(FAQ)
Q1. 英語の「大きな語順」を覚えるだけで、本当に英語が話せるようになりますか?
A. 大きな語順は、家で例えるなら「柱や基礎(骨組み)」の部分です。これだけでは細かなニュアンスまで表現できませんが、骨組みがしっかりしていれば、後から単語や文法(壁や屋根)を付け足すだけで簡単に正しい英文が作れるようになります。まずは大きな語順を無意識に使えるようにすることが、会話への一番の近道です。
Q2. 英文を読むときに、どうしても日本語の順番に返り読みしてしまいます…
A. 日本語の「当事者視点」で後ろから訳そうとする癖が残っている証拠です。改善するには、英語の語順通り(主語→動詞→対象…)に「頭から意味の塊ごとに区切って理解する(スラッシュリーディング)」練習が効果的です。大きな語順の意識が高まると、自然と返り読みの回数が減っていきますよ。
Q3. 「大きな語順」のトレーニングは、具体的に1日どれくらいやれば効果的ですか?
A. 長時間机に向かう必要はありません!1日5分〜10分程度で十分です。通勤時間や家事の合間に、「I eat breakfast at home in the morning(誰が・どうした・何を・どこで・いつ)」といったシンプルな文を頭の中で作ったり反芻したりする習慣をつけることが、何よりのトレーニングになります。

