受験勉強をしていたころ、5文型は重要だ、とか、5文型がわかれば英語が理解できるとか言われました。
いまは、いや8文型だ、とかの主張もあるらしいですが、受験生はまだ5文型を必須のものとして教えられているのではないでしょうか。
しかし、ほとんどのネイティブが5文型などは全く意識して話していません。それなのになぜ日本(の受験界)では5文型が重要視されるのか不思議です。
前回の記事で、そもそも自動詞と他動詞の区別は必要ないということを書きました。
さらに過去記事で、第2文型のSVCのCにあたる名詞や形容詞は、述語のメインの要素となり、VCが一体として述語として扱われるということを書きました。
ということで、ここまでですでに、第1、第2、第3文型の区別は必要ないことは実質的に説明してきていることになります。
もう一度具体的に整理してみます。
I looked at him.
You should be careful of your health.
I have a dream.
これらは、上から順番に第1、第2、第3文型ですが、どれも[主語]、[述語]、(前置詞)[述語の対象語]の順になっており同じ形です。
[I] | [looked] | (at) | [him] |
[you] | [should be careful] | (of) | [your health] |
[I] | [have] | (無) | [a dream] |
(3つ目については、前回書いたように、a dreamの前に無前置詞という前置詞がついていると考えます)
このように、第1、第2、第3文型については、区別は不要であり、同じ形でとらえることができます。
述語の対象がない場合ももちろんありますが、なければ言わなければいいだけのことですので何の問題もありません。
■述語の対象語の形
じゃあ、第4文型と第5文型はどうなるの?
とお思いになるかもしれませんが、その前に述語の対象語の話をします。
述語の対象になるものは、大きく2つが考えられます。
①I like Japanese animes.
②I think she is beautiful.
①のように、語句の形をとる場合と、②のように節(文)の形をとる場合です。
これは単に2つの形があるというだけで、どちらの形だから扱いがかわるというものではありません。
述語の対象を、語句の形で言いたいときは語句でいい、節の形で言いたいときは節の形に自然になるだけです。
そして、第4文型と第5文型は、これから述べるように、対象語が節の形になる場合を簡略化したものと考えることができます。
■第4文型
I gave him a chocolate.
これは、
I gave [he has a chocolate].の[]の中の節がhim a chocolate に簡略されたものと考えることができます。
意味としては、私は彼がチョコレートを持っている状態を提供した、ということです。
前回の記事で述べた無前置詞の場合がそうであったように、間に何も挟まずに言葉を並べた場合には、be または have
のイメージになると考えられます。
そのため、he has a chocolate と him a chocolate は、両方とも彼とチョコレートが重なり合っているという同じイメージとなり、このような簡略化がなされたのではないかと思います。
ここまで書いてきているように、英語は話し手が頭に描いた絵を言葉にして聞き手に伝え、聞き手はその言葉から絵を再現して理解する言語です。
つまり、描かれる絵が同じであるということは、同じ意味であるということなのです。
■第5文型
①My mother made me clean my room.
②She made him happy.
①の方は My mother made [I cleaned my room].の[]の中が時制などが簡略化されたものです。
②の方は She made [he was happy].の[]の中が him happy となったものです。
①の方は特に説明することはないと思います。
②は、第4文型のところと同じように、間に何も挟まずに言葉を並べた場合には、be または haveのイメージになることから、was が省略され、him happy の形になったと考えられます。
■She will make him a good wife.
She will make him a good wife. がなぜ、彼女は彼のためによい妻になるだろう、という意味になるのか悩んだことのある人もいると思いますが、これは、have が略されている、つまり、
She will make [he has a good wife].の[]の中が簡略化されたものだからそのような訳になるわけです。
ただ、この文は be が省略されていると考えることもできそうです。
もっとも、そうすると、彼がよい妻になるというありえない意味になりますし、ジョークとしても面白いのかどうなのか微妙なものなので、これは have の関係であるとしか解せないでしょう。
■まとめ
5文型は特に区別する必要はなく、述語の後に前置詞(無前置詞を含む)+述語の対象をとともに置く、という一つの形で考えればよいということです。