テンスとアスペクトを感覚的にどのように処理するか?

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■①過去単純形、現在完了形、現在完了進行形の区別

●過去の行為が絡んだ3つの形

過去単純形、現在完了形、現在完了進行形はどれも過去の行為が絡んでいますが、会話の時瞬時に区別して理解する、あるいはしゃべるときにどれを使うのかを選択するためには、どのようにすればよいのでしょうか。
いろいろとネイティブが書籍等で言っていたことをヒントに考えてみたいと思います。

●過去単純形

He read a book.
I was worried about my sister.
I lost my purse.
など、過去の行為や状態を示します。
習慣的な行為を示すときは used to をつけることが多いです。
ただシンプルに過去の行為や状態を述べるときに使います。

●現在完了形

文法書では、完了、結果、継続、経験などと分類して説明されますが、話すときにいちいちこんな区別はしないでしょう。
現在完了は、簡単にいえば、
「過去を引きずっている今」
をあらわしています。
過去から何らかの影響を受けている「今」に意識が向いています。
そのため、過去の行為は現在の判断・行為の原因・理由となっている場合が多く見られます。
例えば、
(同僚からランチに誘われたとき)
I have eaten a hamburger.
過去にハンバーガーを食べた→今おなかがすいてない。ランチに行かない。
I have lost my purse.
過去に財布を失くした→今は財布を持っていない。お金がないので貸して欲しいなど。
先ほどの過去単純形が単に過去に失くしたという事実を述べているだけなのに対して、現在完了の場合はその影響を引きずっています。(まだ出てきていないとか、出てきたけど現金が抜かれていたとか)
(自宅に配車を頼んでおいたタクシーが家の前に止まっているのを見て)
The taxi has arrived!
過去にタクシーが到着した→いま家の前にいる。急いで出かける支度をしなくてはいけない。
このように現在完了は「今」に意識が向いている「現在形」のひとつなのです。

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●現在完了進行形

I have been studying English for ten years.
We have been waiting for three hours.
現在完了進行形については、過去と今の「間」「過程」に意識が向いています。
上の例文でいくと、10年間の勉強の苦労とか、3時間待っていたイライラとかに関心が向いています。
これに対して、
I have studied English for ten years.
We have waited for three hours.
と、現在完了形だと、10年間勉強して現在はだいぶしゃべれるようになったとか、3時間待った後の現在の疲労状態とかの、今の状態に意識が向いています。

●まとめ

過去単純形 「過去」の事実それ自体に意識が向いている。
現在完了形 過去の行為・状態を引きずった「現在」に意識が向いている。
現在完了進行形 過去と現在の「」「過程」に意識が向いている。
このように意識の置き所でシンプルに区別して判断しているのではないかと考えられます。

■②現在単純形、現在進行形の区別

■今現在の状態

英語で今現在の状態を述べるときは、どう言えばよいでしょうか。
今現在英語をしゃべっていることを表現したいのであれば、
I speak English.
ではなく、
I am speaking English.
と現在進行形を使わなければなりません。
現在単純形を使うと、現在の習慣や繰り返される動作を示すことになってしまいます。
また、今現在東京に住んでいることを表現したいのであれば、原則として、
I live in Tokyo.
とします。
この違いは、speakが動作動詞であり、liveが状態動詞であるから、と説明されます。
動作動詞の場合は、現在動作中であれば、現在進行形を使い、
状態動詞の場合は、現在の状態は、(原則的に)現在単純形を使うと、文法書には書いてあります。

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■ネイティブの頭の中では現在単純形と現在進行形をどう区別しているか?

では、ネイティブは頭の中で動作動詞か状態動詞かをいちいち区別してしゃべっているのでしょうか。
前項で、状態動詞は「原則的に」現在単純形を使う、と書きましたが、例外的に現在進行形を用いることもあります。
だとすると、例外的に進行形を用いることも、その都度判断して進行形にしているでしょうか。
例外的な場合として、
①(聴覚検査において被検者が音が聞こえるときに)
I am hearing.
②she is resembling her mother.
(だんだん似てきている)
③I am living in Tokyo.
(一時的に住んでいる場合)
などがあり、それぞれ例外的な場合を覚えて使っているのでしょうか。
もちろん、そんなめんどくさいことはしていません。
非常にシンプルな感覚で現在単純形と現在進行形を使い分けています。
ネイティブは
現在単純形を静的・継続的・安定のイメージで捉えていて、
現在進行形を動的・一時的・変化のイメージで捉えています。
単純形をスチル写真のイメージ、進行形を動画のイメージと言ってもよいかもしれません。
これは動作動詞であるから、とか、状態動詞であるからとかは判断していないと思われます。
上の状態動詞で進行形を使う例外的な場合も、一時的、変化している場合を進行形として表しています。
言語を楽に、反射的に話そうとすると、細かく分類していてはそのように話すことはできません。
過去単純形、現在完了形、現在完了進行形の区別もシンプルに、
「どの時点に意識を置いているか」
で区別していましたが、今回の現在単純形と現在進行形の区別でも、非常にシンプルな判断によっているのです。
文法書では、正確に取りこぼしがないように説明しようとするためか、どんどん細かく分類したり、原則に対する例外がものすごく多くなってしまっていたりします。
でも、実際に、楽に反射的に英語を話すためには、細かく分類するのではなく、むしろ逆に、一つの感覚に統合する方向で理解していく、何らかの分類が必要になる場面でも、せいぜい二者択一くらいのシンプルな判断で済むようにしていくのが、文法学習として目指す方向になるのではないでしょうか。
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