日本語ネイティブの大人が、英語ネイティブの子どもより有利なこと

今まで述べてきたことも含めて、英語学習にあたって日本語母語話者の大人が英語ネイティブの子どもよりも不利なことを先にまとめておきます。

■英文和訳、和文英訳

これは日本語ネイティブだからといういよりも、日本の学校英語教育の問題なのですが、ほぼ全てに近い日本人が日本の学校英語教育を受けているので、不利な点として挙げました。
日本語を介して英語を聞いたりしゃべったりしていると、不正確なうえに遅いため、ネイティブとまともに話せないという点については、以前に書きました。
そもそも翻訳というのは、2つの言語に両方とも熟達した人が最も適した訳を見つける行為なのであって、外国語を学習する手段として自国語を介することは、外国語を身につけるにあたって何らかの弊害が出るであろうことは、想像に難くないでしょう。

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■日本語が英語から「遠い」言語であること

日本語と英語が大きな違いを有する「遠い」言語であることは、これまで述べてきた通りです。
4つの語順にしても、日本語と英語で同じところは名詞の前置修飾だけで、他のところは全部違っています。
そして、ものの見方や立ち位置、理解の仕方なども大きく異なっており、わたしたちが日本語を身につけるときに獲得したものを、ほとんど転用することができません。
文字も全く違います。
それに比べて、ドイツ語ネイティブなどは、英語と多くの共通点があるため、日本語ネイティブほど多くの困難はありません。

■発音

日本語は英語と比べて音が少ない言語で、日本語母語話者が英語を学ぶときには、自分たちの使わない音をたくさん身につけなければなりません。
逆に英語母語話者が日本語を学ぶときには、発音に関しては苦労は少ないようです。
また、日本語が一音一音はっきりと平坦な調子で話すのに対して、英語は強弱のリズムがあり、音をつなげて話すなど、よいとされる話し方が大きく異なっています。
また、カタカナ英語の氾濫も正確な英語の発音を身につける障害のひとつとなっています。

■脳内の日本語

これも日本語ネイティブに限ったことではないのですが、外国語を身につけるときに、脳内をかけめぐる母語が外国語を身につけることを阻害してしまいます。
ネイティブのこどもは頭の中が空っぽに近く、覚えた言葉をその都度膨大な回数反芻していると考えられます。
これはやろうとしてやっているのではなく自然にそうなってしまうのです。
そのため、誰から教わらなくても少しずつ言葉を覚えながら、それを自動化・無意識化していけるのです。
しかし、日本語ネイティブの大人は、常に日本語で脳内独り言をしゃべっています。人によっては、英語学習をしているときでさえ、脳内は日本語だったりします。
だから、英語を学習しても、ネイティブの子どものように自然に脳内で反芻するようにはならず、すぐに日本語の脳内独り言をはじめてしまいます。
そのため、英語を身につけるため、意識して努力して、英語を脳内で反芻するような時間をつくる必要があります。
海外に留学したり移住したりした人で、数か月で英語がしゃべれるようになる人がいますが、これは日本語の脳内独り言を抑制して、その日聞いた英語を脳内で反芻するような習慣ができたからではないかと思います。

■有利なこと

日本語を身につけた大人であることは、英語学習にあたって不利なことばかりではなくて、有利にはたらくこともあります。
有利さを利用すれば、ネイティブの子どもよりも早く英語を身につけられる可能性が出てきます。

■ものに名前があることを知っている

ヘレン・ケラーが、幼いころ、手の上を流れる水が”water”という名前であることに気づき、ものには全て名前があることを知ったという話があります。
ものに名前があるということは、裏をかえせば、言葉には意味があるということです。
言葉に意味があることで、言葉を使って自分のいいたいことを相手に伝えたり、相手の言いたいことを知ることができます。
そして、母語だけでなく、外国語を身につければ、より多くの人といいたいことを伝え合うことができる。
これを知っていることで、外国語学習の大きなモチベーションになり、より早く外国語を身につけることができるでしょう。

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■抽象的な概念を理解できること

抽象的な概念をジェスチャーなどの言葉以外の方法で子どもに教えることは非常に困難です。
これはある程度言葉を覚えた段階でも難しいことです。
母語を身につけていれば、母語による説明によって、外国語の抽象的な概念をすぐに理解することができます。
ネイティブの子どもは、ある程度抽象的なことを理解するために何年も要します。
このための時間と労力を短縮できるということは、非常に有利なことです。
この場合に注意しなければならないことは、ひとつの単語に対して訳語をひとつ当てはめて、それをもって理解したとはいえないということです。
母語と外国語が一対一で対応しているということは、違いの大きい日本語と英語の間ではほぼありえないことですから、英語の意味を理解するために、日本語の力を借りるのはいいとしても、安易に訳語で解決するべきではありません。

■「比較対象」としての日本語を知っていること

日本語と英語は「遠い」言語で、共通点は少ないですが、それでも比較対象する言語として日本語を知っていることは、何も知らないところから英語を学ぶよりは、より効率的に、また客観的視点から英語を学ぶことができる可能性があります。

■自律的に行動できること

大人であるということは、自分の行動を自分で律することができるということです。
子どもは嫌なことはやりたがりませんし、やらせようとして駄々をこねたりふてくされたりします。
言語を身につけることの意義を教えようとしても、そもそも言葉を知らないので教えることができません。
それでも、子どもが母語を着実に身につけていくのは驚異的ではありますが…。
大人は自分で計画を立ててそのとおり実行することができます。
工夫して学習時間を作ったり、スキマ時間を利用したりしながら学習することで、思いの向くまま行動する子どもよりも早く言語を身に付けられる可能性があります。
以上、有利な点をいくつか書いてきましたが、いかがですか?
「あんまり有利だとは感じられんなあ…」とおっしゃられる方もいらっしゃるかもしれませんが、気休めにでもなればと思います。
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